思い出の場所

純血の犬は股関節形成不全がしばしばみつかるようですが、この写真を見る限り、ケントも遺伝的にそうなのではと思います。
これができるわんこ、皆様のおうちにもいるかもしれません。
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そして先日、病院でレントゲンを撮っていただいて、変形性脊椎症が見つかりました。
変形性脊椎症は、早い子なら5歳くらいから進行します。
ジャーマンシェパードみたいになりやすい犬種もいますよね。
シェルティでは変形や神経の異常がもっとしっぽ側に集まる、馬尾症候群になる子もいるようです。

「これはかなり痛いはず」と先生。
おそらく股関節のほうも痛いだろうと。
痛さのあまり「触らないでわん!」と歯を当てることも当然あるだろうと。
保護から2年、これまでのケントの様子を思い出すと、本当にぴったりと当てはまります。


人も犬でもおそらく哺乳類みんなそうなのでしょうが、痛みが続くと、痛みに耐えられるように脳内物質が出てきます。
アドレナリン的なもの、あるいはステロイド的なもの。
痛ければ痛いほど出る。興奮していると出る。痛みや恐怖に対して奮い立たせるために出る。
そして戦闘的になっていくんですね。
私はボクシングを見るのが割と好きなんですが、殴られても殴られても立ち向かっていく彼らには、当事者ですら自覚できない脳内の快感があるんだろうと。
ケントもそういう感じだったと、わかりやすく平たく言うとそういうことです。


痛み止めにはお薬を出してもらいました。
この痛み止めは眠くなる系統の薬ではないです。
もちろん麻薬の系統でもありません。
獣医学も進歩しています。

ケントはものすごく深く眠れたようで、朝は私が起きてきた時間でもまだ寝ていました。
目が覚めると、ケントは本当に穏やかな良い子になっていました。

今まで、どんなにか痛くて、どんなにか痒かったか。
ごめんね、ケント。
でも、もうだいじょうぶ。


その日の朝の散歩。いつもはただ歩いて通り抜けるだけの公園。
ケントは私にアイコンタクトを求めつつ、リードを引かずに遠回りしながら、少しずつベンチに近づいて、ベンチの目の前に来ると勝手にお座りをしました。
「ここで休みませんか?」とでもいうように。
私はこんなこと、一度も教えていません。
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(その公園の画像です。グーグルのもので、桜の季節です)

ベンチで休むと、何かいいことがあったのでしょう。
おやつをもらったり、抱っこしてもらったり。
それは、誰が教えたのでしょう。

もう1枚の写真があります。
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この写真は、ケントの最初の飼い主さんの家の近くの公園です。
夏のような高い青空ですね。
グーグルの画像なので真ん中に変なの入ってますが。
芝でも草っぱらでもなく砂と砂利で、まわりは高い建物と樹木に囲まれて。
そしてベンチがあるのが見えるでしょうか。


体のあらゆる痛みを取ってもらって心穏やかになったケントは、私を公園のベンチに誘ったのです。
懐かしいあの場所に似ている、公園のベンチに。
そこに行けば、いいことがあるから。
素敵な時間を過ごせるから。


ケントのお父さんへ。
こんなに良い子を残して死ぬなんて、私はあなたが腹立たしくてしょうがない。
高齢になってから仔犬を迎えるなんて。
その子の未来の手立てもせずに、1対1で暮らすなんて。
くそおやじ!!死ね!!といいたいところですが、もう亡くなっています。
それに、死んではいけないのです。愛犬を遺して。


痛みやかゆみというストレスのない状況では、ケントは本当にほんとうに良い子です。
ケントはこれらの辛い状況から解放されました。
どんなふうに管理したらいいのかもはっきりわかっています。

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今はただの、食いしん坊で甘えん坊でおもちゃが大好きな、8歳の可愛いシェルティです。
できたらご家族様複数人のいるご家庭で、みんなからたくさんの愛情を注いでいただきたいです。
そうすれば亡くなったケントのお父さん一人だけの愛情を軽く超えられますから。
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変形性脊椎症の管理ですが、アレルギーと一緒で薬をご飯に入れるかおやつに包むかどちらかです。
もちろん、薬に頼らない管理の仕方も大切ですが、トライアルの前にはきちんとご説明いたします。
あまりにも長く散歩するのは良くないそうなので、逆に管理しやすい面もあるかとも思います。



ケントや保護犬たちに対する行き届いた医療は、皆様からの温かいご支援により行われています。
本当にありがとうございます。

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by naomi_nmi | 2017-05-13 12:12 | 元ヤン王子